表現力をかなぐり捨てて物語を書こう!

表現力をかなぐり捨てて物語を書こう!

 やあ、みんな! 元気にもりもり小説書いてるかい? ぺこさんは最近もりもり書いてるよ! すごく雑だから推敲が修羅場になりそうな予感しかしないけど、あとさきのことを考えずにとにかく書いてるよ!

「Stay hungry, stay foolish(貪欲であれ、馬鹿であれ)」

 って、スティーブ・ジョブスも言ってるしね! たしか前にもどっかの記事でジョブスの名前を持ち出したけど、べつに私はアップル信者ってわけじゃないです。もし信者ならね、とっくのむかしにApple Booksでも配信してるよ、ははは!

 さて、小説をもりもり書いてるみんなのために、とっておきのアトラクションを紹介します。それはすばり、

 英語でおはなしを書いてみよう!

 英語って聞いただけで蕁麻疹が出たそこのあなた。あなたは仲間だ。お友だちだ! このアトラクションを愉しむ権利がある。
 ちなみにどうしても英作文が無理そうなら、「二歳児語縛り」とか「幼稚園児語縛り」といったタイトな語彙縛りでも似たようなことが楽しめる。ただ、英語を使うと束縛感が半端ないので、本気で(皮膚に食い込まんばかりの束縛を)楽しみたいのなら断然英語をおすすめする!

 英語? 余裕だよ! まかせて! と思った、そこのあなた。

 英語が得意なフレンズは、英語禁止だ!!

 なんかこう別の、おまえの良く知らない言語を使え。スワヒリ語でもナワトル語でも、なんならシュメール語でもいい。まったく知らない言語じゃなくて「よく知らない」程度の言語が望ましい。

 このアトラクションはどんな言語でも楽しめる。ただし、できれば簡単な表現くらいは理解できて、短い文章くらいは書ける程度の習熟度が欲しい。なぜなら片言でも自力で文章を書く必要がある。

 逆に、一つのシチュエーションに対して、その言語で何通りもの表現をぱっと出せてしまうくらいに習熟している場合には、うまく楽しむことができないので、どうか第二第三の外国語で挑戦してみて欲しい。

 やることは単純だ。英語(あるいは選択した言語)で小話を書く。その言語で表現できる範囲内で、頑張って物語を構成しないといけない。なぜなら、あなたは表現を工夫できるほどその言語を知らない。言葉足らずななかで、なんとか相手を愉しませようと頭を悩ませる。

There was a strange man.(あやしい男がいた)

 と書いたとする。男がどういう風にいたのか、どんな様子だったのか、なにを目的としているのか、そういう背景とか情景とか、小説に必要なあれこれは一切書き込まない。なぜなら、説明するのに十分な語彙をあなたは持ち合わせていないからだ。書けないことは書かない。これが鉄則だ。

 そんな状況で、物語を作ろうとあがくとどうなるか。

A monster appeared and blew him up.(モンスターが現れて、彼を爆破した)

 なんかてっとりばやく爆発したり、崖から無駄にフライングアウェイしたり、モンスターに襲われたり、いきなり美女が登場する。

 このモンスターはどこから来た? この美女はいったいなにもの?

 そう問われたあなたは、しめやかにアルカイック・スマイルをつくる。そして無言で慈悲を乞う。それでだいたいのことは解決できる。

 さあ続きを書いていこう。

”Ahhh, smells so good, would you like a bite?”(あああ、とってもいいにおい。あなたも一口いかがですか?)

The monster said to a woman next door.(モンスターは隣に住んでる女性に言った)

She was beautiful, but really got angry with his offer.(彼女は美人だったけど、彼の提案に本当に腹を立てた)

EHHHHHHHHH YOU ARE A BAD MONSTOR!!!!!(ああああああああああ おまえは悪いモンスター!)

She slapped him.(彼女は彼をひっぱたいた)

The monstor suddenly obtaind masochistic mind.(モンスターは突然にしてマゾの心を獲得した)

And then, the strange man blown off revived and became a masochist, too.(そしたら、さっき爆破された奇妙な男も復活して、マゾヒストになりました)

They lived together happily ever after.(その後、彼らは一緒に仲良く暮らしました)

 な? 舌ったらずだけど物語はできてるでしょ? できてない? ああ、君はとてもシビアだね。私はこの程度でも大満足さ!

 使い慣れた母語を使えば、パンチの弱いストーリーを表現力でどうにかできてしまったりする。例えば「男がいた。彼は目玉焼きを作った。食べた」程度のストーリー的にはしょうもない内容でも、うっかり名作に仕上げてしまう可能性がある。

 あるいは表現に迷って物語が進まないなんてことは、小説書きにとって日常茶飯事だ。ひとえにネイティブとして培ってきた語彙力が高すぎるせいだろう。

 だが、物語の核心は表現ではない。表現は枝葉だ。枝葉は幹があってこそ大きく育つ。
 物語=幹そのものは、語彙の乏しい幼児でも作れる。なんならそういう子供のほうがすらすらと、おもしろおかしい話を作ったりする。細かいことには触れずに(というか触れられないので)テンポが恐ろしく良く、勢いで最後まで突っ走る(しかない)ので、謎の爽快感もある。

 面白くて勢いのある物語を紡ぐために、表現力はむしろ足かせになっているのではないかと思う今日この頃だ。だからたまには表現力をかなぐり捨てて、束縛プレイを楽しもうじゃないか。野生をとりもどそう! 私が言いたいのは、たぶんそんな感じのことだ。

 束縛プレイをするにあたって、大切なのは間違いを恐れないこと。どうにかこうにか相手を愉しませようと努力する、エンターテイナーの心を忘れずに、子供に戻ったつもりで純粋に物語づくりを楽しもう!

 気が向いたらやってみてね。本当に、あほみたいなことしか書けないので、切ないですが、楽しいです。