(2020年版)電子書籍を個人出版したい人が検討しそうな選択肢・可能性を全部書き出してみた

(2020年版)電子書籍を個人出版したい人が検討しそうな選択肢・可能性を全部書き出してみた

 2020年版では、電子書籍の出版に限定せず、オンラインコンテンツの収益化全般について検討してみたいと思います。書籍のジャンルは小説・ライトノベルを想定しています。

電子書籍の作成

ファイル形式

 2018年版ではePub・PDFの二択と書いたんですが、小説に関してはePub一択でいいんじゃないかと思います。配信ストア向けにはePubが要ります。またスマホやタブレットにはたいていデフォルトでeブック閲覧アプリが入っていますから、ePubファイルが開けないで困る人はほとんどいないでしょう。強いて言えばパソコンではビュアーをどこかから入手しないといけません(ちょっと前までのWindowsならMicrosoft Edgeのβ版がビュアーになりましたが、正式リリース版ではサポートしてません)。

 ただこのご時世に敢えてパソコン使う人っていうのは、能動的になにかしら作ろうとしている、いわば玄人ですから、適当にググって自分で解決できるんじゃないかって期待してる(適当)

ファイルの作成

 このサイトではLeMESigilを使っています。LeMEで土台をつくったうえで、細かいアレンジをSigilで加えるのが自由度が高くてかつ楽です。

 具体的な作業プロセスを以下の記事にまとめたので、ご参照ください。

コンテンツの販売

 電子書籍という形態にこだわらなければ、大きく分けて4つの方法で販売ができます。

  • 配信ストアで電子書籍を配信する
  • ウェブサイトや投稿サイトで広告収入を得る
  • ECサイトでファイルをダウンロード販売
  • ファンサイトなどで有料記事を配信する

 1. と 3. は似て非なるものです。1. ストア配信で販売するのはファイルのアクセス権(厳密にはストアに対して配信許諾権)、3. ダウンロード販売で売るものはファイルそのものです。1. ではファイルそのものを販売しているわけではないことにご注意ください。

 難易度の低い順にナンバリングしてあります。1. 2. はそこまで難しくなくて、2.と 3.の間にちょっとした壁があり、3. と 4. の間にちょっと越えがたい壁がある。

配信ストアで電子書籍を配信する

 個人出版ができるめぼしい配信ストアを以下にまとめました。複数ストアで配信する場合でも、主となる配信ストアを一つに決めておくと配信管理が楽です。

 アマゾンを主な配信ストアにする場合には、アマゾン専売すると販促が捗ります。ラノベやラノベ文芸の場合はBOOK☆WALKERが強いので、BOOK☆WALKERをメインにして複数ストア配信するのも有力な選択肢になります。

Kindle Direct Publishing

 Amazonで販売できる。専売プラン(キンドルセレクト)だとロイヤリティ70%(正確にはここから書籍購入にかかるダウンロード代が引かれる)。あと自動的にプライム会員読み放題のUnlimitedに登録される。90日ごとに更新で90日のうち累計5日間無料キャンペーンを打つことができる。

 キンドルセレクトの条件を満たさない場合はロイヤリティ35%。最低振り込み金額は1円で、振込手数料はAmazon持ち。Kindle Direct Publishing

BOOK☆WALKER

 ラノベ全般におすすめ。ラノベ文芸あたりはわりと穴場だと思う。ロイヤリティは50%。最低支払金額は1円で、振込手数料はBOOK☆WALKER持ち。BOOK☆WALKER 同人誌・個人出版著者センター

楽天kobo

 楽天Koboのストア。80~298円の本のロイヤリティは45%で、299円~100,000円の本のロイヤリティは70%。最低支払金額は10,000円で、振込手数料がどっち持ちなのかはよくわかりません。楽天Koboライティングライフ

Google Play

 現在新規登録に制限を設けているので、参加したい場合は問い合わせをします。参加可能な状態になったら登録したGmailに案内が届くはずです。Google Play ブックスパートナー

Apple Books

 マックユーザーのみ配信可能。本名で配信するのは簡単ですが、ペンネームで配信しようとすると手間がかかります。

 具体的な登録プロセスを以下の記事にまとめたので、ご参照ください😃

電子取次を利用する

 電子取次を利用すると、個人出版では配信できないストアにも配信することができます。

BCCKS

 電子書籍販売サイトで、後述のPrint On Demandもやっています。このサイトにアカウントを作って電子書籍を配信すれば、簡単な紙の本を販売したり、他のストアにも配信できるようになります(ただし有料オプション。登録や更新一回あたり税込み540円かかる)ストア配本サービス

電書バト

 漫画 on web を運営する漫画家の佐藤秀峰氏が経営する電子取次会社。取引手数料は各書店の手数料を売上から引いた額の20%(ユーザーが電子書籍データを用意することができず、電書バトがデータを作る場合は35%)で最低振り込み額は1万円、振込手数料は別にかかるみたいです。漫画がメインですが、ライトノベルも受け付けているっぽい。電書バト

ウェブサイトや投稿サイトで広告収入を得る

 最近は広告収入の一部を著者に還元する投稿サイトが増えてきましたから、表紙を用意しなくても、書籍データを作らなくても、自分の小説を「売る」ことができます。ウェブでは大人気だけど紙書籍だと爆死、みたいな小説が(金銭的に)報われる時代が来ましたね。本当の意味でweb小説はじまったなぁと感慨深い反面、1PV=0.1円くらいという相場からいくと、多くの小説は小遣い稼ぎにもなんねぇだろうなぁと思われます。でもそれくらいのレートが妥当なのも、ブログやってるからなんとなくわかる。

 この方法で「売れる」のはいままでのメジャーな市場と相性のいい極一部のメジャーな作品だけで、その他大勢には向かないんですが、個人的にweb小説がようやくはじまった感慨が深いので、感動とともにここに記しておきます。

 自前の小説サイトに広告を貼るという売り方もありますが、言うまでもなくPV稼ぎが最大の難関となるでしょう。

ウェブサイトやショップでファイルをダウンロード販売

 この売り方は、前述の「自前のウェブサイトでの広告収入を狙う」以上にPV集めが難しいですが、はじめるだけなら 1. のストア配信と同じくらい簡単なので、とりあえずやってみるのはありです。小規模店舗対応で固定維持費をかけずに済む代表格はBASEとBOOTHです。

BASE

 決済手数料は送料を含めた売上の3.6%+40円。別途サービス使用料が3%かかる。ショップ運営に使える一部のアプリが有料。振込手数料は登録者もちで250円。振込金額が20,000円未満の場合は事務手数料500円がかかる。月ごとに〆てはくれないので売上の振込申請を自分でする必要がある。

 BASEを使うといわゆるECサイトを作ることができます。ホームページとブログとメルマガ(に相当するもの)とショッピングカート及び問い合わせフォームを一元管理できるのが魅力です。普通のお店のように身元を明らかにして本格的に販売活動をしたい人におすすめします。BASE

BOOTH

 決済手数料は送料を含めた売上の3.6%(自宅から発送する場合)。発送最低支払金額は5,000円で、振込手数料は登録者持ちで、30,000円未満の場合200円、30,000円を以上の場合は300円。

 BASEとちがってBOOTHは、あまり身元を明らかにしたくない同人活動全般におすすめなサービスです。売り手と買い手が住所・本名などのプライベートな情報をやりとりすることなく決済から配送までカバーするシステムが整っています。「特定商取引法に基づく表記」もなあなあなままいけますので、身バレが心配な方にも安心ですね(ただし、販売者情報について請求があった場合は速やかに回答しなければなりません)BOOTH

ファンサイトなどで有料記事を配信する

 作り手にとってはいちばんウハウハそうにみえて、そのじついちばん骨折り損のくたびれ儲けな選択肢です。個人的には、個人でこれに手を出すくらいなら、地道に書籍の販売や広告収入を狙っていくのが良いんじゃないかと思いますが、やりようによってはアリな場合もある。完全に否定はしない。

 ファンと呼べる存在がすでにたくさんいて、かつ、そういった人たちに独占的に提供したいなにかがあるときに使えるのがファンサイトなんじゃないでしょうか。「パトロンサイト」とか「ファンコミュニティ」「投げ銭」などといったキーワードで検索するといろいろ出てくると思うので、気になる人は探してみてください。

 ところで、このサイトでも使っているFANBOXっていうサービスは、ほんとうはファンサイトを作るものなんですが、ちょっとちがう使い方を目論んでいます。目論見どおりに使えるかどうかは未知数なんですがね、まあ見ててくださいよ(真顔)

(番外編)紙書籍を販売する

 紙書籍を売りたいんだったら出版社に売り込むのが一番楽よ(身もふたもない)。それか印刷所で刷った本をBASEとかBOOTHに登録して販売する。

  どうしてもメジャーな本屋で紙本を売りたいというのであれば、Amazon e託 を利用するという手があります。まずISBNという書誌コードを取得する必要があります。申請方法やお値段などは日本図書コード管理センターで探してみてください。たしか21,000円+10,500円から登録できます。

 ISBNを取得すれば、建前としては全国の一般の書店に流通させることができます。でも取次が扱ってくれないので実際には無理です。Amazonでしか売れません。逆に言えばAmazonさんだけは取り扱ってくれます。ここで注意したいのが入庫にかかる送料です。よっぽど売れる見込みのある本以外、一冊ずつしか置かせてもらえません。しかもe託の年会費は税抜 9,000円と法人向けな価格設定なので、多くても二桁程度しか取り扱わないような個人が利用するにはちょっと無理ゲーな選択肢かなと思います。密林社を利用するという手もあります。そちらはいくらか現実的な選択肢です。

Print on Demand

 プリント・オン・デマンドは、注文が生じた都度本を印刷して販売するという紙書籍の売り方です。在庫を抱えるリスクがないのが最大のメリットです。デメリットは売り物の品質を自分で確認できないこと。販売される本はペーパーバックです。普通の印刷物と違って、PoDでは発注部数が多くなっても単価が下がることはありません。

 インプレスグループのNextPublishingを利用すれば個人でもAmazonのPODサービスを利用できます。販売価格の40%が手数料で、他に印刷代がかかります。

 そんなこんなでAmazonで販売しようと思うと高くつくのですが、Amazonにこだわらなければ製本直送.comの「どこでも出版」を利用すれば単価は抑えられます。また上述のBOOTH を使えば、同じpixiv系列のpixivFACTORY と連携して紙書籍のオンデマンド販売ができます。

おわりに

 「電子書籍を個人出版したい人が検討しそうな選択肢・可能性を全部書き出してみた」と銘うっているいるわりに、2020年版は2018年版に比べてずいぶん中身が減りました。いろいろやってみて「その選択肢はねえわ」っていうのもずいぶんあったから、そういうのはごそっと消しました。電子書籍の個人出版を目論む同志たちの参考になればさいわい。

 なお各サービスの詳細は、各サービスの運営者に直接お問い合わせください。私に聞いてもわかんないからね、そこんところよろしく😆